大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ラ)161号 決定

本件抗告理由は、債権者谷口清助は抗告人にたいする墨田簡易裁判所昭和三十三年(ロ)第八〇号支払命令に基き約束手形金八万九千七百円及び督促手続費用四百四十円の弁済を得るため昭和三十六年四月四日本件強制競売の申立をし、手続が進行したところ、抗告人は右債務の弁済として同年四月二十七日金一万五千円、同年六月六日金一万五千円、同年七月七日金一万円、同年八月八日金一万円、同年十月六日金一万円を債権者に支払い、昭和三十七年三月二十一日債権者と交渉の上残元金及び遅損害金等を加算した金額五万円を同年六月六日に支払い債務を完済することとし、即日額面金五万円、満期昭和三十七年六月六日の約束手形一通を債権者宛振出し交付し、債権者において競売期日延期の手続を執ることを合意した。債権者はその後直ちに競売期日延期申請書を執行裁判所たる東京地方裁判所宛郵送したに拘らず手続は続行せられ本件競落許可決定がなされたのである。然し抗告人はその後昭和三十七年六月六日前記手形金五万円を債権者に支払い本件債務名義に基く全債務を完済した。以上の次第で本件強制執行は続行すべからざるものとなつたから原決定の取消を求めるというに在る。

案じるに、本件記録に徴すると抗告人の右主張事実全部を認めることができる。すなわち抗告人は本件債務名義に基く債務の全部を弁済したものというべく、右は民訴法第六七二条第一項にいわゆる強制執行を続行すべからざる場合に当るから原決定を取消すべきものである。

(鈴木忠 谷口 加藤)

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